インターネットはコンテンツだよね

妻の書いたブログ記事がちょっとバズった(話題になった)。
レンタルサーバーがダウンしてしまうくらいなので、かなりのアクセス数があったのだろう。GoogleAnalyticsの数字でも訪問者が1日で数万だったようなので、記事をクリックしたけど見られなかった人がそれ以上いるはずだ。

これまで妻のサイトのPVは1日数十程度だったので、ほぼ無名のサイトがひとつのコンテンツだけで、これだけのアクセスを集めたということになる。これは、インターネット業界で仕事をしている僕にとっては、大変興味深いできごとだ。
釣りも炎上もない、ネコもラーメンも登場しない、「東横イン」という地味な題材を扱ったコンテンツがこんなに当たるとは、びっくりだ。

仕事でよく「記事をバズらせたい」という話になる。
そりゃ当然、コンテンツを作るからにはたくさんの人に届けたいわけで、それが仕事となればなおさらだ。
けれども、特に最近「バズらせる」ことが目的になった仕事の依頼が多い。
企画の打合せなんかでは「なに載せたらバズりますかね〜」という話にほぼ必ずなる。
それは仕事としては当たり前のことで、悪いことだとはまったく思わないが、「はやらせるためにコンテンツを作る」という本末転倒に気づかないふりをして仕事をする人が多いのが気になる。
せめてタテマエだけでも「こういうコンテンツを作りたい!」というのがないと、あまりにもむなしいではないか。

幸いなことにライターとしての僕は、媒体なり代理店なり制作会社なりの「バズらせたい」という要求に、「はい! バズらせましょう!!」とテキトーな返事だけをしておいて、好き勝手な原稿を書くということができてしまうので(結果バズらなくてもとりあえずその原稿のギャラはもらえる。その先仕事がこなくなるかもしれないことはあとで考えればいい)、こんなことが言えるのだとは思うが、それにしてもこのごろの「バズらせたい」には疑問を感じてしまう。

そんなふうにぼんやりと疑問を持っていたところで、「東横イン騒動」が起こったのだ。
最初に「ブログ書いたよ」と言われて読んだ時に、いい記事だ、面白い記事だと思ったが、こうまで注目されるとは想像しなかった。
それを見通せなかったことは、編集者としては恥ずかしいことで、なぜ人の心をつかんだのかきちんと分析しなければいけないが、その一方でインターネットにはまだこういう力が残っているんだということに、とても勇気づけられた。
いいコンテンツは、無名な人が作っても数万人の元に届くのだ。
小手先のテクニックやお金を使わずとも、いいものは評価される仕組みが、インターネットにはちゃんと存在している。

「ネットってさあ、最近つまんないよね」なんてぼやき気味だった僕にとって、今回このことに気づけたのは、もしかすると妻からの「東横イン」以上のプレゼントなのかもしれない。

余談だが昨日このブログに「なぜ僕は東横インが好きなのか」を書いたところ、「人気に便乗しないでよ」と妻から言われた。
僕だって過去に何度か「人気記事」を書いたつもりだったが、家庭内の立場はこれを機会にすっかり逆転してしまったようだ。
うーむ。

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<写真は本文と無関係です>

 

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