マスタード

こういうことを書くと、いかにもそういう暮らしぶりをしている人みたいでちょっと抵抗感があるのだけど、でも実際にそういう暮らしぶりをしているのだから仕方がないので書くが、マスタードを自分で作った。

これがとてもうまい。

通販でマスタードシードを買って、白ワインビネガーに漬けるだけなのだがとてもうまい。
白ワインビネガーと言えば、銀座にホンモノのなまはげがいる居酒屋があって、なまはげ登場の時間になると客席を「泣く子はいねぇが! 泣く子はいねぇが!!」と周って歩くのだけど、なまはげはサービス精神が旺盛で、いろいろと質問に答えてくれたり要望に応えてくれたりして、楽しい。
なまはげの秋田訛りの受け答えにテーブルは盛り上がるんだけど、その時に

「秋田弁で『白ワインビネガー』って言ってみてください」
とお願いしたら
「わりとよぐそれ頼まれるんだ。そゆごど思いつぐのオメぇだげでねぇど。いいが、いぢどしが言わねがらよく聞げよ。いいな!」
「はい!」
「言うど!」
「はい!!」
「白ワインビネガー」
「……」

と、文字で書いてもぜんぜん伝わらないと思うけど、そこだけ訛らずふつうに標準語のアクセントで白ワインビネガーってなまはげが言っていたのが大変おかしかったのだ。
「白ワインビネぇがー」
って言うのを期待したんだけど。

マスタードシードは黄色と茶色があり、黄色は華やかな香りが特徴で、茶色はほのかな苦みが魅力的だ。

よくある市販の粒マスタードは、両方をミックスしてあって、ちょうどいい具合になっているんだけど、ためしに黄色だけで作ってみたらそれはそれでおいしかったので、じゃあこんどは茶色だけでつくってみようと思ったわけだ。

どうせ茶色のマスタードシードだけで作るんなら、白ワインビネガーではないものを使おうと思い、黒酢で漬けてみたのだが、これがまたすこぶる付きでおいしいのだ。

マスタードの苦みと黒酢特有のコクが絶妙に重なって、未知のスパイスといった振る舞いである。

何にでも合うという類の調味料ではないが、ラムのローストとか、レバー系のなにかとか、そういうのに合わせると引き立つ。

簡単なので各位お試しください。

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