塩で食え

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ちょっとした料理屋などで食事が出されて
「まずは塩で召し上がってみてください」
などと言われると、ちょっとやな気持ちになる。
素材の本来の味を云々……というようなのが大きなお世話だと思ってしまう。丁寧に暮らさせられているみたいな押し付けに嫌悪感を抱くのだ。
「さあどうだ」みたいな押し付けがましさがきらいなんだろうな。

我ながら面倒な人間である。

ところが、先日たまたまカツオのたたきを塩で食べたらうまかった。

生協で注文した冷凍のカツオたたきに高知産の天然塩というのが付いていた。
この塩も値段に含まれているんだからもったいないのでちょっと使ってみようかと食べたら、めっぽううまいのである。

このカツオたたきの場合、素材本来の味がどうこうというのではなく、塩自体に旨みがあったのだ。
残った塩をそのまま舐めていてこれを確信した。

それ以来、僕の中にちょっとした塩ブームが到来した。
なにをいまさらといった感じであるが、塩で食う方がたしかにうまいものもある。

特に大豆食品は塩がうまい。

たとえば納豆は付属のタレやしょうゆよりも塩のほうが味が引き締まるように感じる。
豆腐も同様だ。
しょうゆだけをそのまま味わった時にははあまり気にならない大豆の風味が、納豆や豆腐のそれとバッティングしてしまうのだろうか。

ところが、油揚げを焼いたものなどは塩よりも圧倒的に醤油の方がおいしい。

なぜだろうか。

人間の舌もなかなか繊細にできているなあ。