年間34分40秒

1年間に換算すると、34分40秒になる。
なんの話か。
待ち時間の話である。

ウォシュレットの洗浄ボタンを押してから噴射までの待ち時間が1年間でどれくらいになるのか、その試算結果が34分40秒になる、という話だ。

人生で最も無駄な時間はウォシュレットの待ち時間だということに異論を挟む余地はないだろう。
洗浄のボタンを押し、ヌイーンとノズルが伸び、温水が水穴から私めがけて噴き出す。この瞬間までの一連の動作に費やされる時間は5.7秒である。
これは我が家のウォシュレットでの実測値だが、他のトイレでもおおむね同様だったのでこれを基準とする。

皆さんも顧みてほしい。この5.7秒の間、いったい何をしているのか。
恐らく、事を成し遂げた後の恍惚のまま、ただ放水を待っているのではないだろうか。
きっと、その時の表情は他人に見せられないようなもののはずだ。

ピッとボタンを押してから放水までの間、「来るかな……来るかな」と、温水が秘め菊を射る瞬間をただ無心で待つ。
われわれは日々、これをくり返している。

写真は本文とは無関係の焼きそばパン
写真は本文とは無関係の焼きそばパン

大が1日1回として、5.4秒×365日で2080.5秒。およそ34分40秒だ。
私は男性なので大の時しかウォシュレットを使わない。小の時にも使いたい衝動に駆られることもなくはないが、おおむね1日1度の使用である。
リモコンに女性のマークが付いていることから推察するに、女性の方が使用頻度が多いのではないかと思われるが、詳しく知らないので今回の計算では無視する。

つまり、われわれは年間34分40秒を無駄に、ただ「来るかな……来るかな」と考えるのみで、いや、考えるとさえも言えないようなぽっかりと開いた空虚を、ひたすらに過ごしているのである。

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